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朝勤務。 そのあとロシア人監督による、昭和天皇を描いた話「太陽」を見てきた。*1 映画館に行くのは何年ぶりだろうかという状態なのは前の方で書きましたが、予告編の邦画のつまらなそうなこと、つまらなそうなこと。 そりゃ、タイムスリップで2丁目の夕日テイストだしたり、特攻隊の話を描けば入口のない海とか、そりゃ観客は感動するだろうさ。
追記:コメント欄でharasho1986より『タイムスリップで三丁目テイストというと・・・?』と質問を受けたので(2丁目だってば!)、調べてみたところ、僕の見た予告編というのは、http://www.metro-movie.jp/という地下鉄(メトロ)に乗ってという作品らしいです。 なんか、地下鉄に乗ったら過去にタイムスリップしていて、自分の父親の時代にいったとかいかないとか。 「あなたは自分の父親が父親じゃない時を見たことがありますか(要旨)」 無理だっての!
新宿の映画館で見てきたのですが、時事馬場ばっかりだこと。 窓口でチケットを求める列は、同じ時間帯に上演している、パイレーツ・オブ・カリビアン2の方が人気があったのは秘密だ。 ちなみにパイレーツ…を見たっぽいひとことは、「1を見ていないから最後に出てきた人がだれなんだかわかんない。」
個人的な感想を。
(以下、映画を観ていないとわからない記述及びネタバレに近い記述があります。 また、僕のまだ定まっていない自身のイデオロギーに関わる話が含まれています。)
最も、坂口安吾の説をとるならば、天皇とは政治機構の1種であったが。
藤原氏や将軍家にとって何がために天皇制が必要であったか。何が故に彼等自身が最高の主権を握らなかったか。それは彼等が自ら主権を握るよりも、天皇制が都合がよかったからで、彼らは自分自身が天下に号令するよりも、天皇に号令させ、自分が先ずまっさきにその号令に服従してみせることによって号令が更によく行きわたることを心得ていた。その天皇の号令とは天皇自身の意志ではなく、実は彼等の号令であり、彼等は自分の欲するところを天皇の名に於て行い、自分が先ずまっさきにその号令に服してみせる、自分が天皇に服す範を人民に押しつけることによって、自分の号令を押しつけるのである。 『続堕落論 青空文庫より抜粋 強調はTによる』
真珠湾攻撃・開戦詔勅
1941年9月6日の御前会議で、対米戦は避けられないものとして決定された。御前会議では発言しないことが通例となっていた昭和天皇はこの席で敢えて発言をし、明治天皇御製の「四方の海 みな同朋(はらから)と 思う世に など波風の 立ちさわぐらん」
(四方の海はみな兄弟と思うこの世になぜ波風が立ち、騒ぎが起こるのであろう。)
という短歌を詠み上げた。
この歌が映画では、あたかも天皇が第二次世界大戦を終結させる御前会議の時に使ったように見えた。
- マッカーサーとの対談のシーン。 英語で二人が会話を交わしているのだが、 1人称が「Emperor」となっていた時もあれば、「I」を用いていた時もあった。 この監督のことだから、意図があったんだろうな・・・
- 今回の映画を観て思ったことは、前半がものスゴイ退屈・・じゃなくて、誰か一人の悪者を作れば人は安心してしまう傾向があるなぁ…とつくづくおもってしまう。 その悪者に自らなろうとしていた裕仁はある意味ではこの作品の描くとおり「天皇ヒロヒト−彼は悲劇に傷ついた、ひとりの人間」なのだろう。
- そう考えると、僕の小学校高学年の時の担任であった人が、「世界で一番悪い人は、マッカーサーとムッソリーニと昭和天皇だ」と言っていたのは甚だ疑わしいことになる。 と、いうよりかは小学校の低学年にそんなことを無条件に教え込むのもどうかと思うけどな。
なんか、昭島でも上映を始めるらしい。 後は吉祥寺と新宿と銀座だそうだ。 あまり僕は勧めはしないが、2時間を潰したい程暇な人は見に行っては如何でしょうか。
参考リンク
http://taiyo-movie.com/
http://en.wikipedia.org/wiki/Hirohito
http://movies.yahoo.co.jp/interview/200608/interview_20060803001.html
*1:あらすじは、ttp://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20060318が詳しい。